以前の記事にも投稿しましたが最近の車両はスペアタイヤを装備せず修理キットを搭載することでその代用を兼ねているケースがほとんどになりました。
ここ最近になって「実際のパンクで修理キットを初めて使ったよ」と言うお客様もぼちぼちみられるようになりました。しかし修理キットで治したからOK、と言うわけではないんです。
下記実例をもとにご説明いたします。
このお客様は残念ながらパンクに気づかず乗り続けてしまったため、タイヤ側面に損傷を与えてしまい交換を要することになったケースです。パンクの原因はクギ。現場でそれを取り除き修理キットの液剤を充填し当社まで来店されました。(あくまでエマージェンシー対処として、です)
■参考(修理キットの使用手順)
①パンク要素(クギ等)を排除 →②コアを外しエアを全て抜く →③液剤を充填(バルブ位置注意) →④コンプレッサーにてエア充填 →⑤少し走ってエア漏れが止まっている事を確認 →修理工場へGO ・・・と言った具合です。
※詳細は各社指示説明に従ってください。
修理キットで治したタイヤの中はこんなカンジです。
←泡状の液体が分かりますか?
完全に取り外したタイヤでは・・・
←こんなカンジで空気と触れると泥状に固まり始めます
液剤充填後、早い場合で5分程度で固まり始めますので数日後には完全にゴム質に変化し硬化します。それゆえそのままで修理等をせず放置すると異常振動の原因(ホイールバランス不良)や再パンクの可能性も・・・
←ホイール側もすでに硬化し始めています
以上から修理剤を用いた応急処置のあとは必ず整備工場でのチェックが必要です。修理が可能な場合は残存した液剤を適切に処理し、きれいに取り除いた後でパンク修理を行います。
上記のように修理不可の場合でも確実にホイール側の洗浄を行わないと新品タイヤを組みつけてもエア漏れが発生したりバランスに狂いが生じます。またエアバルブもゴムでできているので同時交換をオススメします。
GS等でのその場しのぎの処置が後々に影響することもありますのでどうぞ覚えておいてくださいね。
ちなみにタイヤ一本からのご用命ももちろんOKです。同ブランド・同銘柄のご指定も可ですのでお困りの際はどうぞご相談ください!
▼ちょっとマメ知識▼
こんな液剤だけで本当に修理ができるの?という方もおられると思います。自動車に採用されてからは日が浅いのでそれも仕方ありません。。。しかしこの液剤修理による方法、すでに10年以上前から自転車競技、ことにマウンテンバイク競技では一般的に浸透していました。競技中にパンクすると大きなタイムロスにつながるためこれら液剤(ガス入り)をエマージェンシーとして用いる選手も多く、実際レース前半にパンクした選手がこれで修理して最後まで走りきったケースもあるんです。自動車ラリーでもこれに似たムースと呼ばれるものも用いられますね。そんなわけでキチンとした使い方では大きな安心につながるものですからどうぞご安心ください。