実走テストしてきました(充電器レポートあり)

おそらくどこよりも早い実走レポートとなります、新型SAKURA。その実力やいかに?

やはりそれぞれ皆さんの実用に耐えうるか否か?が最も問われる部分ですのでちょっぴり辛口に評価していきます。

いつも通り、難しい表現は避けますがあえて数値を比較したレポートになります。ややこしければ流し読みでも構いません、最後にまとめがございますがもっと詳しく聞きたい、といったお客様はご来店いただければ幸いです。

まずは基本スペックから。

 

バッテリー容量:20kWh

航続距離:WLTC値 180km

 

この航続距離からエアコン使用で消費されるであろう約2割分を差し引いた距離(約150km)を往復で高速道路を織り交ぜて走ってみる計画を立てました。

この行程で108km。往路は上り基調ということもありマージンを考えて妥当距離と判断。このコースを往復でデータ取りします。

まずはスタート。

前日100%まで充電したあと、朝には97%まで下がっています。あれ?満充電180㎞じゃないの?と思われるかもしれませんがこの数値は外気温や前後の充電状況により変化します。そうです、必ずしも100%充電が180㎞走れるとは限らないのです。これは故障ではありません、電池の特性にもよるものと理解してください。

単純計算で10%で約15km(エアコンONで約12㎞)走れる計算となりますので予めこれを頭に入れておきます。

 

この97%・145㎞で一路梓川SAまで向かいます。今回はマージンもあるため高速走行もテスト内容に含めました。巡航速度では全くの問題はありません、そしてスムーズ。時折右車線を走り平均速度を下げぬよう加速しますが軽自動車のホイールベースとは思えない安定性を感じます。これはバッテリーをはじめとする重量増と剛性感増が良いほうに寄与しているものと思われました。時折軽自動車であることを忘れるくらいです。

惜しむらくはチープな標準タイヤ。これ以上のコスト高になることを避けた結果だと思いますが乗り心地を含めたせっかくの上質感をすべてスポイルしている感じ。よって弊社デモカーは早急に高性能静音タイヤに変更予定です。

そんな巡行をしていると梓川SA手前でこんな警告が。

流れに乗ってちょっぴり飛ばしすぎました(汗)残量20%を割るとこのような警告が出ます。さきの把握値で19%残ならあと20km少々走れると判断して焦ることなく梓川SAの充電設備へ到着。

ここは何度も利用しておりEVエリアも比較的停めやすくお気に入りのスポットです。早速充電開始していみます。

現実問題、設備も古いこともありますがこのように見づらくなっている設備も多いことは事実。これから増えるであろうEVビギナーの方は怪訝に思われるでしょうからリペアなりを急いでほしいと願うばかりです。

これは充電直後に撮影したので360V・84Aが出力されています。計算すると360×84÷1000=30.24Wが給電されています。

このSAKURAは説明書にもありますが急速充電の最大値は30kW程度に制限されています。20Kwhバッテリーに対しての制限値なのでこれ以上のスピードは出ません。なのでこのスピードが最大値となります。

充電は日産のZESP3カードを利用しているので10分で1コマ。今回はあえて2コマ分(=20分)でどれだけ給電できるかもテストしました。

全くをもって見辛いですね…20分で19%→69%までの50%分の8.72kWが入りました。ZESP3のメールも添付しておきます。

考え様にもなりますがトイレ休憩して少し歩いて20分程度。ここまで復活していれば上々な能力といえます。そして再出発し目的地の大王わさび農場へ。

 

甘く見ていました、こちらも暑い。。。日陰を探してカフェで休憩ののち園内散策をして帰路のテスト開始です。

帰り道はあえて下道・国道19号と高速側道を交えて岡谷まで下っていきます。下道なので飛ばすことはありませんでしたがいつもの癖でふらり寄り道であっち・こっちと。

そんなことをしていたら本日2度目のバッテリー残警告。 ↓走行中だったので撮り忘れましたが途中検索で最寄りの松本日産岡谷ギャラリーに到着したのは16%残。

こちらは空いていることもあったので3コマ(30分)をテスト。結果、78%・120kmまで復活しました。

 

実質帰路は74㎞ほどなので余裕で帰ることができました。…と帰着時を取り忘れたのでタイムレートがおかしいですが一枚。

以上のトリップ内容は、

往復距離:227㎞

充電回数:2回(5コマ分)

給電電力量合計:20.1kW

 

というわけで理論上の計算では100%→0%までの電力でぎりぎり運行できたことになります。もちろんこれは机上の数値なので今回は道中すべてエアコンON、 エコランではなく流れに乗った走行だったためにマージンを取って二回の充電を行いましたが能力的には乖離の少ない性能だったことも評価できます。

ただし忘れてならないのはこの車両はあくまで近距離向けコミューター。身の程でいえば自宅充電(普通充電)ベースで本来の軽自動車の用途であれば不便を感じることなくストレスフリーであることに変わりはありません。

今回のような用途(中距離)であれば2回の充電はマージン上必要ですし「向かない」とまでは言わないにしろ、重電が苦になってしまうこともあるかもしれません。なので用途に適した車種選びが今後重要になることは確かなのです。

ただしこの充電の時間が良いリフレッシュにもなりますし、ペースを無視した走りをしなくなるので安全運転にもつながります。この副産物はEVユーザー全てに言えることだと思います。

そこをふまえて今後導入をご検討される方は参考にいただければ幸いです。

 


 

余談ですが今回の梓川SAの充電器のスペックが44kW出力機なので日産系ディーラーに最近設置され始めている90kW機なら速いのでは?と考えがちですが答えはNO。

SAKURAは受電が30kW程度なのでどんなに上限があがったとしても受け入れられる量に変わりはないのです。実際に前日、甲斐日産に設置されている90kW機で試してみました。

その結果はこちら。

 

同じ条件(3コマ=30分)での給電量の比較は

44kW機:11.4kW

90kW機:11.9kW

となりほとんど変わらないのです。この点は勘違いしている方も多いのであえて実証してみた次第です。

 

そして今回往路の梓川SAで試した20分のみの給電が何を示すかというと、残量20%からの充電の場合の平均電流は

最初の10分…84A

次の20分…80A (8.7kWhでした)

最後の30分まで…50A(11.4kWhで終了)

 

これはつまり充電後20分までが最大アンペア値に近く、それを過ぎると徐々に電流値は半分またはそれ以下にまで下がるのです。

つまり急速充電は「20分で50%分=75㎞分」がスイートスポットという結果になります。

この距離をふまえてこの車が長距離ユースでも供するかを判断してみたらよいと思います。その判断は人それぞれですので賛否ではないことを付け加えておきます。

 

 

【まとめ】

今回のSAKURA、個人的感想はとても楽しかった、に尽きます。充電回数と時間は苦にしていませんので意外なほどの高速安定性能と快適な室内空間、乖離差の少ない電費性能は評価に値します。今回は平坦地ベースだったので山岳路を交えた回生ブレーキ性能も今後試してみたいと思いました。

また今回のように数字だけにとらわれず安全パイな残量のうちに充電を心掛ければなにも問題ありません。日産ディーラーは全国にも点在しますので安心です。

このSAKURA、弊社にていつでもご試乗いただく事が出来ます。ご相談もあわせてEVのことならぜひ弊社まで!

 

㈲笹本自動車整備工場